ネットでよくある
間違った認識と
本当の塗料選び!
外壁の耐久性と耐候性の認識の違い
「そろそろ塗り替えをしないと」と思い、色々調べていると塗料選びで迷っている方が多いと思います。
実は、ネットで書かれている、「シリコンなら●年」などはプロとして納得できない事が多いです。よく“耐久性”という言葉が使われていますが、ほとんどが耐候性の事のみを指す内容となっています。
何が違うか?一般の方からすると難しい表現になるかもしれません。正直、説明するのも難しいので簡単に「●年持つ」という表を作り、ネットに上がっています。この表のほとんどが耐候性の話をしていて耐久性の話ではないのです。
例えば、「ひび割れの発生」は耐久性と書かれた表の中に含まれない事が多いのです。ビックリされる方も多いと思いますが、できるだけ分かりやすくプロの本音を書かせていただきます!
まず、「壁の劣化」とは…
- 防水性の切れ
色褪せ - 塗膜の剥がれ
- クラック
(ひび割れ) - これらが主な劣化です。
しかし、ネットでよく見る、耐久性=防水性の切れ・色褪せと塗膜の剥がれの話です。
例えば長持ちすると言われている無機塗料やフッ素塗料でもクラック(ひび割れ)は、地震や国道沿いの揺れなどで簡単に起こってしまいます。
皆様は「耐久性20年」と聞いていたのに、塗装後1年でひび割れが発生した場合、納得できますでしょうか?私なら納得できません。実は、塗料選びの前に家の建て方の種類や壁の種類、また、新築時や前回の塗り替え時に使用した塗料によっても提案すべき塗料は違うのです。
外壁塗装の塗料よくある表記
←下記表を左へスクロールすると全て見れます。
塗料の種類 | 耐久年数 | 塗料の相場費用※1缶あたり |
---|---|---|
アクリル塗料 | 約3〜7年 | 5,000~15,000円ほど |
ウレタン塗料 | 約5〜9年 | 5,000~20,000円ほど |
シリコン塗料 | 約7〜15年 | 12,000~80,000円ほど |
ラジカル塗料 | 約10〜16年 | 12,000~100,000円ほど |
フッ素塗料 | 約12〜25年 | 40,000~150,000円ほど |
無機塗料 | 約15〜25年 | 50,000~150,000円ほど |
この表で見た一般の方はまさか、ひび割れが考慮されていないとは思わないですよね?次にひび割れを考慮した表に作り替えます。
ひび割れ追加したリアルな表
←下記表を左へスクロールすると全て見れます。
塗料の種類 | 耐候性 | ひび割れの 入りにくさ |
塗料の相場費用※1缶あたり |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 約3〜7年 | × | 5,000~15,000円ほど |
ウレタン塗料 | 約5〜9年 | ◎ | 5,000~20,000円ほど |
シリコン塗料 | 約7〜15年 | ○ | 12,000~80,000円ほど |
ラジカル塗料 | 約10〜16年 | △〜○ | 12,000~100,000円ほど |
フッ素塗料 | 約12〜25年 | × | 40,000~150,000円ほど |
無機塗料 | 約15〜25年 | × | 50,000~150,000円ほど |
※外壁塗装に使用する上塗り塗料の缶数は、一般的な2階建て住宅の場合2~6缶が目安です(住まいの大きさや塗装箇所、防水切れの具合によっては、上記よりも多くの塗料を使用することもあります)。
この表を公開するにあたって正直悩みました。実際に塗料を選んでいるのは塗装店です。実際に表を作っているのも塗装店、もしくは塗料メーカーなのです。一般のお客様が塗装店から提案されるプランの中から選んでいるのですが、そのプランを作っているのは塗装店です。
塗装店は少しでも良い商品を販売する方が利益率も高いことも有り、フッ素塗料や無機塗料を販売したいのです。
しかも色々なネットでフッ素塗料や無機塗料が良いものであると、一般のお客様も認識しているため、フッ素塗料や無機塗料を選ぶ方が増えているのです。
ただ、日本は地震大国であり、地震が10年以上も起こらないという事の方が考えにくいのです。各会社の保証には地震などの天災は保証対象外となっているため、利益追求を重視している塗装店にとっては都合の良い商品なのです。
もしくは、ネットで出ている情報で勉強する塗装店も多く存在します。ですので、悪気はなく地震で割れるという認識もなく良かれと思い販売する塗装店も多数存在します。
本当のところは地震で割れやすい無機塗料やフッ素塗料が主流になってくるのは残念です。
ただ、例外として無機塗料やフッ素塗料をオススメするケースもあります。例えば、サイディングの場合は伸縮性のある目地を塗装後に打ち替え(化粧打ち)たりする事で無機塗料やフッ素塗料が有効になる場合もあります。
目地を打ち替えた後に、無機塗料やフッ素塗料を塗るのは目地の部分が高確率で割れてきますので、手抜き工事と捉えています。
外壁塗料の種類
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- ラジカル塗料
- フッ素塗料
- 無機塗料
最近では聞かなくなったアクリル塗料、ウレタン塗料とは?
外壁塗装をするにあたり、「アクリル塗料」や「ウレタン塗料」について知りたいという方もいらっしゃるかと思います。アクリル塗料やウレタン塗料は、一昔前、外壁塗装の主流だった塗料です。
現在ではアクリル塗料やウレタン塗料が選ばれることは少なくなっており、今の主流となっているのはシリコン塗料です。とはいえ、今も外壁塗装にあえてアクリル塗料やウレタン塗料を選択している場合もあります。
「アクリル塗料」、「ウレタン塗料」で塗装をしたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
アクリル塗料やウレタン塗料が選ばれる理由
アクリル塗料やウレタン塗料の最大の魅力は、価格の安さです。塗装工事の金額の中に塗料の価格が含まれます。
従って、値段の安いアクリル塗料やウレタン塗料を使うと塗装工事代を安くできます。これが選ばれている理由でしょう。
ただ、地球温暖化による紫外線量の増加に、アクリル塗料やウレタン塗料では現在の太陽光に耐える事ができず、せっかく塗装工事を行ったのに、すぐに再塗装が必要となるため、塗装会社も提案しなくなってきました。
アクリル塗料やウレタン塗料はこういう人にオススメ!
下記の場合はアクリル塗料やウレタン塗料をオススメです。
といった理由で、あえて外壁塗装にアクリル塗料やウレタン塗料を選択するケースはあります。
その他、少しでも塗料の価格を安くするために「雨樋などの付帯部だけ安価なウレタン塗装にして、塗装にかかる費用を抑えたい」など外壁塗装ではなく、付帯部にだけアクリル塗料やウレタン塗料を選択するケースもあります。
迷ったらオススメ!定番のシリコン塗装
お家や外壁塗装の種類にこだわり等もないのであれば、定番・1番人気の「シリコン塗装」がオススメです。ちなみに、シリコン塗料の人気ぶりは、建築塗料市場において、なんと80%のシェアになっています。
シリコン塗料の最大の魅力は、一定以上の耐久性がありながら中程度の価格帯であるのが人気の理由です。
人気が高い分、塗料メーカー各社が商品開発に力を注いでおり、様々な種類のシリコン塗料があるのも魅力の1つです。
近年では、無機塗料やフッ素塗料などと同等の耐候性を持ちながら、(無機塗料やフッ素塗料などに比べて)お手頃なシリコン塗料の価格帯という製品も多数販売されています。
物によっては安価な無機塗料やフッ素塗料を凌ぐ耐久性のあるシリコン塗料もあります。
私の考えるオススメのシリコン塗料
アステックペイントの「超低汚染リファインsi」です。
皆様はアステックペイントという塗料メーカーをご存じでしょうか?もともとオーストラリアの大手塗料メーカーです。
最近、私はこちらのメーカーの塗料を気に入っています。気に入っている理由は他のメーカーとの仕入れの違いです。
他のメーカーは必ず数カ所の問屋を経由し、塗装店に卸されます。中間マージンが掛かるのが当たり前です。
アステックペイントは問屋を通さず、塗装店に直接卸しています。
アステックペイントは、もともとオーストラリアの大手塗料メーカーで、日本と比べて自然環境が悪く、日本の塗料では到底、使い物にならないほど、良い商品を作る必要がありました。
例えば、北海道で冬場に使用でき、沖縄で夏場に使用できる塗料ならば日本中・年中使える塗料という事になります。
しかし、オーストラリアの国土は、日本の国土の20倍あります。国土の中には砂漠やジャングルも存在します。その国で使える塗料を作っているメーカーですので塗料に関する最低基準が高いのです。
現在の日本の気候風土から今後は亜熱帯気候化が進むと思います。私が子供の頃、夕方に強い土砂降りが起こる事をスコールと習いました。その頃にはゲリラ豪雨と呼ばれる夕方に強い土砂降りはありませんでした。もしかしたら、既に亜熱帯気候化しているのでは無いでしょうか。
今後の温暖化による自然環境の悪化を考えれば、安くて良い塗料が手に入るアステックペイントの塗料をオススメしていきたいです。
超低汚染リファインsi
この商品は親水性(水に馴染みやすい)の特徴があり、汚れが付いても雨が当たれば雨水が汚れの下に回り込み一緒に洗い流します。(セルフクリーニング効果)
さらに遮熱塗料でもあります。紫外線による経年劣化の他に熱劣化(熱くて傷む事)が、塗料が傷む大きな原因です。
遮熱塗料は熱劣化からも家を守ってくれるのでオススメです。特に、大手ハウスメーカーに多く採用されている軽量鉄骨(プレハブ造)などの鉄骨造は熱伝導率が高く、外壁も傷みやすいのです。
さらに顔料には豊富な無機成分が含まれているのにも関わらず、曲がる性質と強さ(柔軟性・強靭性)の両方を兼ね備えています(コア・シェル構造)。
また、ラジカル制御技術が採用されていて劣化しにくくなっています。一般的なフッ素塗料と比べるとシリコン塗料でありながら相当長持ちが期待できます。
各塗料メーカーが競い合いながら良い塗料を開発しております。最新の塗料が販売されたら必ずと言って良いほど営業が来ます。しかし、私はすぐに使うことはありません。
理由は、私が建築業界に来て33年が経ちますが、車のリコールの様に不具合が見つかることが多いのです。印象的には、新商品の50%ほどは不具合が起きます。車の様に部品交換をすれば解決する訳ではなく、足場を組み直しての大掛かりな工事が必要となります。
少なくとも販売されてから5年以上経過しないと使わない様にしています。※あくまで、私個人の考え方によるものです。
弊社が真っ白に塗り替えた10年以上経つお宅は今のところ汚れが付いていません。自信を持ってオススメします。
しかし、全ての家にオススメできる訳ではありません。お客様のライフスタイルやニーズや建物の構造的問題でオススメできない事も多いです。一軒一軒建物の条件が違います。ですので、オススメする塗料が変わる事もありますので全ての家に塗る訳ではありません。
今、人気急上昇!?「ラジカル塗料」とは?
自宅の塗り替えを検討している方の中には複数の見積りを取り、「ラジカル塗料」の説明を受けた方も、多いのではないでしょうか?ラジカル塗料の説明を受けても難しいと感じた方もいらっしゃるでしょう。
できるだけ簡単に説明をしますと、まずラジカルというのは太陽の光が外壁に当たり、外壁塗料の成分の中に、酸化チタンというものがあります。
その酸化チタンが動き回り塗料の結合が壊れる(チョーキング現象)事を言います。やっぱり簡単に説明をするのは難しいです。
もっと簡単に説明します。太陽が外壁に当たると塗料が傷む(ラジカル現象)。それを緩和するのがラジカル制御技術です。
その技術を含む塗料が、“ラジカル塗料”と言います。これから塗料を選ぶならば、ラジカル制御技術は必須と言っても過言ではありません。
ラジカル制御技術で有名な塗料の中には日本ペイントの「パーフェクトトップ」という商品があります。
お客様も塗装業者も勘違いしている事が多いのですが、「シリコン塗料+ラジカル制御」ではなく、「アクリル塗料+ラジカル制御」ですので、お間違い無く。
アクリル塗料だからと言って、長持ちしないのかというとそうでも無く、一般的なシリコン塗料よりも長持ちする印象があります。一概に、アクリル塗料 < シリコン塗料 < フッ素塗料という訳でも無いので、塗料選びは難しいですよね。
営業の人柄も大切ですが、専門知識が本当にあるかどうか?も重要になってきます。大切なお家のことですので、時間を掛け、相見積もりを取る各社の話をしっかり聞きましょう。
ラジカル塗料をもっと知りたい方!
※ラジカル制御の話はもうお腹いっぱいという方は飛ばしてください。
淡彩色系の塗料を調色するためには「酸化チタン」が必要です。しかし「ラジカル」が発生してしまい防水切れのサイン(チョーキング現象)が現れます。では、どうすればラジカル制御の淡彩色系の塗料を作れるのでしょう?
「ラジカル制御型の酸化チタン」と「光安定剤(HALS)」を使った「ラジカル制御型塗料」です!
「ラジカル制御型酸化チタン」とは?
=酸化チタンの表層に発生したラジカルを閉じ込めるためのバリアー層がある酸化チタンのこと。
バリアー層によってラジカルが発生しても閉じ込めることができるので、樹脂や有機顔料にダメージを与えにくく、塗料の耐候性を延ばせます。
価格比較!シリコンVSラジカル
シリコンとラジカルの塗料の価格について解説します。結論から言うと、「ラジカル塗料」は通常の「シリコン塗料」よりも値段は高くなります。
「ラジカル制御型酸化チタン」という高品質の顔料を使用しているためです。ラジカル塗料には高い耐候性があるので、耐候年数と価格からランニングコストをみると、「ラジカル塗料」の方がお得という事になります。
ラジカル塗料はこんな人にオススメ!
ラジカル塗料はどのような方にオススメなのかをまとめましたので、参考にしてください。
- 塗装工事代が少し高くなっても、長持ちさせたい方
- シリコン塗料とシリコン塗料にラジカル制御技術が付属されている見積もり額が同じぐらいの場合
- 濃い色で検討されている方
上記に当たる方は「ラジカル制御型塗料」をオススメします。
合わせて、押さえておきたいのは、「どのような樹脂を使っているか?」を確認して最適な塗料選定をしてください。
フッ素塗料と無機塗料は本当に良いのか?
外壁塗装はそもそもお家を守る大事な工事なので、
など、塗料選びは悩むところ。そんな時、耳にした事がある方も多いのが、高耐久塗料のフッ素塗料と無機塗料です。
そもそもフッ素塗料と無機塗料とではどちらが長持ちするのか?
答えは、ほぼ同等です!
フッ素塗料にも無機塗料にもピンキリがあります。ただ、全般的に高額で長持ちするというのも特徴の1つです。悪いところは塗料の性質が固いので、地震や揺れでひび割れが入りやすい塗料でもあります。
フッ素塗料と無機塗料の違いは、有機物(フッ素塗料)か、無機物(無機塗料)かの違いです。
有機物とは?
有機物とは炭素を含む化合物の大部分を指します。炭素原子が共有結合で結びついた骨格を持ち、分子間力によって集まることで液体や固体になっているため、沸点・融点が低いものが多いです。
要は、人工物です。
無機物とは?
無機物とは、有機物以外の全ての物質です。自然界にある木、石、ガラスなどは無機物と言い、紫外線によって傷まない性質のものです。
例えば、タイル、大理石、陶器、水など塗装する必要が無いものが多いです。フッ素塗料も無機塗料も性質は全く違いますが、耐久年数や価格やデメリットの硬さによるひび割れが出やすい症状が似ています。
外壁にはどちらの塗料にした方がいいか?
答えは、どちらでも良いと思います。ただ、無機塗料は実績が日本全体で少なく、フッ素塗料はなかなか塗り替えの出来ない大型施設やビルなどで多くの実績があります。
例えば、東京スカイツリー、レインボーブリッジ、大阪城、熊本城、沖縄の美ら海水族館、ゼネコンの大林組本社などで使用されています。商品名は「ルミフロン」、「ボンフロン」共にAGCコーテック社の誇るフッ素塗料です。
悪い点は、2点です。1点目は、何度もお伝えしておりますが「硬さ」です。ひび割れが起きやすい塗料です。
2点目は、「価格」です。私の知っている限り最も高い塗料です。
金額に関してはAGCとの取引状況や施工品質の信用度で各社違います。扱えない会社も多数ありますので見積もりの依頼時に確認してください。
フッ素塗料や無機塗料で塗装をする場合は工事会社の知識と技術により、良い工事になる場合/悪い工事になる場合もあります。
塗装会社の見極めポイント
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Point 1
「サイディングの場合は目地の後打ち(化粧打ち)を勧めてくるかどうか?」です。
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Point 2
「ALCパワーボード」の場合はそもそもオススメできません。
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Point 3
「モルタル壁の場合はひび割れが入りやすいと正直に言ってくるかどうか?」